旧車販売・クラシックカー販売・ビンテージカー販売・中古車販売・鈑金・塗装・修理のクラシックガレージ


クルマが好きだから自分で技術を蓄積した。

ライトウェイト・スポーツとの出会い。

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16歳の少年が、店頭で一目惚れした。瞳の先に映ったのは、MG-TD。1965年の当時、ライトウェイト・スポーツとして確固たる地位を確立していた英国車だ。免許を取得したその年に、少年は何と憧れのクルマも手に入れてしまった。その時はまさか、クルマが生涯の仕事になろうとは考えても見なかった。

愛車に手を加えることは当初から躊躇や抵抗はなかった。骨組みとしか思えないシャーシを見ていると“自分でも修理できそう”な気にさせられたというのだ。結果は惨敗。バラバラになったボディを前に立ちつくす他なく、近所の町工場に修理を頼んだ。そして、毎日のように工場に通い詰め、傍らで作業を見つめ続けてきた。

“その道の職人に教えてもらえれば、大抵のことはできるようになる”。

これがクラシックガレージ代表・小林和夫さん(57)の持論だ。英国車に最も熱を上げるひとりであり、30年以上も自動車整備工場を取り仕切るエンジニア。事実、自信もその積み重ねによって数え切れないほどの技術や知識を吸収してきた。窓、タイヤ、ボディ…。“見事”と唸らされるエキスパート達の高度な技術を目の当たりにするにつけ、教えを乞うた。そうした経験の数々が、新たなアイディアを生む、人間の五感を越えた感覚に火をつけるのだという。

「クルマとの付き合い方って、人との関係と同じだと思うんだよね。しばらく目を離して放っておいたりするとギシギシ、スネたりなんかして。その理由を見つけるのに毎回手を焼いたりするんだけど、そこが面白いんだよな」と笑う。何より、自分が“車を作れる”ということに感動し、興奮する。

とは言え、個人では工具や素材を揃えるのも難しいのも事実。それに、専門的な知識がなくともクルマを作り上げられるということを、にわかに思い描ける人は少ないのではないだろうか。

「そんな人たちのきっかけづくりができたら」と小林さん。

モノづくりに究極的な正解はなく、“ここまで”という終わりもない。理想を具現化するアプローチの方法はひとつではないし、人の数だけ理想のクルマがあっていい。だからこそ面白いのだ。自分で手をかけて、時間をつぎ込んで、世界にたった1台の理想のクルマを追い求める。
そんなモノづくりの現場でクルマと工具とに興奮する自分の姿を想像してニヤリと微笑んだあなたは、もう趣味人の仲間入りだ。